人工関節センター
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人工膝関節置換手術(Total Knee Arthroplasty, TKA)
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よくある質問

人工膝関節置換手術(Total Knee Arthroplasty, TKA)

当院では小切開にこだわらず10~15センチの切開で確実な手術を行っています。手術後の膝関節の屈曲角度は全国でもトップレベルに近い128度です。


病気の原因

この手術が必要となる主な病気として、変形性膝関節症関節リウマチがあります。
変形性膝関節症は重労働をした、以前ケガをした、体重が重い、などの原因によって年をとるに従って関節軟骨が磨り減ってくる病気(機械的に関節軟骨がすり減るようなイメージ)であり、関節リウマチは膝の潤滑油に当たる関節液を作っている滑膜が炎症を起こし、軟骨がだんだんと溶けてしまう病気(化学的に関節軟骨が溶けるようなイメージ)です。

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正常
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変形性関節症
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関節リウマチ


膝の症状

(1)関節に痛みが生じる
まず、立ったり座ったりや階段の昇り降りの時に痛みを生じることから始まり(第1段階)、
次に平らなところを歩いている時にも痛むようになり(第2段階)、
もっと悪化するとじっとしているときや夜寝ているときにも痛むようになります(第3段階=末期症状)。

(2)動きが悪くなる
曲がらなくなる(正座ができなくなる、和式トイレが困る)
完全に伸びなくなる(膝の後ろが突っ張る)

(3)変形をおこす
O脚やX脚になる

治療

いずれの病気でも、まず手術をしない治療(内服薬、湿布などの外用薬,関節内注射、リハビリなど)を行います。しかしこれらの治療で改善せず、関節軟骨がかなりなくなって骨同士で擦れ合うぐらいに関節が痛んでしまい、かつ上記の第3段階のような強い痛みを伴う場合、痛みをとる目的で行う治療が人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty, TKA)です。


手術によるメリット

痛みがほとんどとれる

手術によるデメリット 手術創周囲の違和感が残る
正座できるほど膝が曲がることはない(90~120°のことが多いが、最近は良く曲がる場合もある)
重いものを持つ、農作業をするなどの重労働を控える必要がある


手術方法

膝前面を縦に10~15センチ切開します(以前ほかの手術を受けているなど皮膚の状態によって多少変わる場合があります)。擦り減ったり溶けたりした大腿骨脛骨の軟骨を切除し、大腿骨側は金属製の部品を、また脛骨側は金属製の部品に高分子ポリエチレン(スキーやスノーボードの裏の素材に似たもの)を乗せたものを設置し、この2つの部品をはめ込みます。膝蓋骨は場合によって取り替えることがあります。

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後療法(リハビリテーション)

手術の前からリハビリを始めます。手術前は現在の状態の評価、筋力増強訓練、術直後の運動指導、などを行います。手術後は主に以下の運動を中心にリハビリが進みます。

(1)筋力をつける練習
膝を伸ばしたまま下肢全体を持ち上げる練習(SLR),膝に力を入れて伸ばす練習などがあります。筋力がないと力が入らず歩けないので、手術翌日からでも練習を始めます。

(2)関節を動かす練習
膝リハビリクッションを購入していただき、ベッド上で寝ているときから動かす練習を始めます。リハビリ室へ行くようになると、このクッションでの練習と理学療法士による練習との両方を行います。

(3)生活動作練習
歩行が上手になってくるにつれて階段、床からの立ち上がりなどの自宅で生活するための練習が加わります。

大まかな日程としては、手術翌日から歩行器での歩行練習、車椅子乗車、2日目からリハビリ室へ行っての立位・歩行練習、3~7日くらいで歩行器での歩行練習、1~2週で一本杖を使っての歩行、となり、手術後約2週で退院となります。

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手術前:O脚変形が著しい
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退院直前:まだ腫れているが変形は
矯正されて痛みもかなり改善した


退院後の注意

通常の生活や旅行などは差し支えありませんが、かなり負担のかかることは人工関節部品の磨り減りや緩みにつながります。農作業をする、重いものを持つなどの重労働は控えたり、体重が増えたりしないように注意しましょう。また人工関節がいたんでくる場合(15年間で約1割に入れ替え手術が必要になる)は痛みを伴うことが多いのですが、痛みを伴わない場合もあるので、少なくとも年に1回は定期的に受診し、人工関節の定期点検を受けましょう。


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